この街において、アスター家は強大な権力を持つ貴族であった。 アスター家はあらゆる才能に恵まれた、神に愛されし一族だった。

中でも突出した才能を持つのが、次期当主であるウィル・アスターだ。 彼は秀でた才を力として翳すのではなく、民のための傘として差し出した。 そのため、この街には彼を慕う人が大変多かった。 月を溶かしたような暗闇に包まれた夜。 アスター家では月に1度の晩餐会が開かれていた。 晩餐会には屋敷の住人、客人、使用人など、ウィルを除き計7名が出席した。 晩餐会が終わり夜も更けた頃、屋敷に当主の叫び声が響く。 屋敷にいた全員がウィルの自室に駆けつけると、そこには変わり果てた姿のウィルが横たわっていた。

次期当主の死を目の当たりにした当主は怒り狂い、彼を殺めた人物を探し出せと命じる。 彼に会うことができたのは、今宵の晩餐会に出席した者のみ。 ウィルの命を奪ったのは、一体誰――?