目覚めれば、そこは見知らぬ部屋だった。周囲には意識のない者が二人。  立ち上がり、見渡すと、どこかのオフィスビルの一室のようだ。  窓の向こうの景色は自分の知っている街であって、自分の知らない街であった。  
———目の前には、紅一面。血濡られた街が広がっている。  眼前に広がる景色に言葉を失っていると、他の二人も目を覚ましたようだ。  見知らぬ場所、見知らぬ人達、覚えのない現状に警戒しているのだろう。誰も言葉を発そうとはしなかった。  一人がドアに近付き、ガチャガチャと押したり引いたりを試み、 また一人は壁際で座り込み、また一人は窓を叩く。  

すると突然、アナウンスが鳴り響いた。

『ここから出たければ、俺を殺すか、逃げるかだ』  

男の声はそれ以上何も語ることなく、再び静寂が訪れる。