「だれにでもできることが、いちばんこわいのです」

舞台は太平洋戦争直前の日本。 風光明媚な庭園に囲まれた鞠村家をたずねた、美しいドイツ人の青年。 50年の時をこえて、その出来事は、 かれらの血を引くものたちにより解き明かされる。 ―1990年の初冬。 ハインリヒは研究課題である鞠村家家屋の取材のために、朱音に鞠村家の長女ふみ子のもとに案内してもらいます。 ふみ子は入院中で、病室には鞠村家の関係者たちが集まっているとのこと。道すがら、ふたりは別々の人物から同じ調査依頼を受けていることに気が付きます。

ふたりは当時の関係者である4名の人物に話を聞いて調査していきます。