鳥のさえずりが聞こえる。  
時折木々が揺れると木漏れ日が差し込み、生い茂る草花に温かさを与える。  潮の匂いが鼻をくすぐる。高台の奥には海があるようだ。  ここ一帯は、とある研究室のために設けられた研究施設。  自然豊かな場所に似つかわしくない大きな研究室が、敷地の中央にそびえる。  そこでは毎日のように実験が行われ、毎日のように爆発事故が起きている。 今日も雲一つない空に、半壊した研究室から黒い煙が伸びているようだ。 それは温かな陽気と相まって、いつもと変わらない平凡な日常を演出していた。
これは、とある一日のお話。