明日は待ちに待ったICU祭。 準備の落ち着いた真夜中のばか山で、 最終確認の打ち合わせをしながら、 私は独特の期待と高揚感が満ちるのを感じていた。  
これまでの苦労が、努力が、遂に日の目を見るのだ。 本番当日を目前に、今までの多忙な日々が思い返された。 それとない充足感に浸っていると、 エナジードリンクの空き缶を片手にひとりがつぶやいた。
「ねぇ、やっぱり明日、雨だって…」
たかが2日間、されど2日間。 縋れるものには、なんだって縋りたい。
「よし、残業タイム!てるてる坊主作るよ…!」
30分後。 本部テント軒先に吊るした大量のてるてる坊主を背に、 キャンパスを後にした。 ぽつり。 滑走路を抜けた瞬間、大きな雨粒が頬を濡らした。 突如、ICU祭で起こった殺人劇。
うら若くも情熱的な、学生たちのおもいめぐる物語。