————この帝都には魔が潜む。

時は大正、繁栄の影にさまざまな闇が巣食うこの時代、 嘘か真か、帝都の街には多くの不可思議な事件の噂が蔓延っていた。 特にこのごろ巷を騒がせているのが「怪人カゲロウ」なる者。 良家の子女を何人も攫っている輩だが、 どんな屋敷にも足跡ひとつ残さず入り、 煙のようにすっかり消えてしまうことからそう呼ばれているそうである。 心配するのはもちろん娘を持つ家族たち。 我が娘の身を案じた、とある屋敷のご主人が調査と警護の依頼のため、 二人の探偵をそれぞれ呼びつけなさったのであった。

しかし、探偵たちが屋敷に到着してみれば何やら不穏な雰囲気。 聞けば昨晩、依頼人のご主人が死体となって発見された、とのことである。 そして依頼人の娘がその夜から姿をくらましたのであった。