時は昭和から平成へと移り変わったばかりの1990年。  世紀末を間近に控え、世がオカルトブーム最盛期を迎えている頃の、ある秋の夜のこと。  今夜も、とある心霊スポットに1台の車が停まる。世間の流行に乗り、肝試しという名の夜遊びに興じに来たのであろう。  特に珍しくもない、ありふれた光景だ。  しかし、そんなありふれた彼らの日常は、参加者のひとりが肝試しから戻らなかったことを発端に、脆くも崩れ去っていくのだった。