まだこの世界には一つの国しかなかった頃。

いろんな表情を浮かべた人々がいた。 新しい命の誕生を喜ぶ母とその家族たち 怒って喧嘩する若い男の人たち 迷子になって泣いている子供 笑いあって話し合う老夫婦。 そんな当たり前の光景が溢れていた。

しかし・・・。

ある日突然、人々はそんな当たり前を失った。 国が森を挟んで2つに分かれ、 なぜそうなってしまったのかは誰も覚えていなかった。 残っていたのはもう1つの国に対しての漠然とした恐怖心と許されたたった1つの感情表現 人々が記憶を失ってから100年以上たった今でも、 2国の間にある森を不可侵地域とし、互いに干渉することはなかった。