「…後悔はありません。たとえ何度同じ機会が廻ろうとも、必ず同じ道を選びます。」
傍聴人の息をのむ音が聞こえるほどに静まりかえった法廷で、 証言台の人物は優しく、そして迷いの無い声で語り始めた。 その涙は既に枯れ果てている。 流れる嗚咽は、おそらく聴衆のものだろう。 右手の木槌がまるで鉛のようだ。 なぜこのような人物が裁かれなければならない? この未来は本当に避けられなかったのか。 “あの人”が救われる方法は、本当にこれしかなかったのか。 これはある人物が想い焦がれた未来に辿り着くまでの、とても優しい物語。 どうか最後まで諦めないで。
そして誰よりも、“あなた自身”を信じてあげて。