白いカーテンが揺れる。
透明な風が頬を撫でれば、次の夢を見る。 その村では、子供は火に近付いてはならない。 その村では、子供は箸を正しく持ってはならない。 その村では、子供は正座で座ってはならない。 でないと、「アカツキさま」の花嫁に間違えられて、連れていかれてし まうよ。 あなた達が住まうのは、強い土着信仰が残る「深明村」 気が遠くなるほど昔。太古も太古。この村には朝が来なくなり、太陽が登らなくなりました。 それは永遠の闇。それは永遠の夜。それは永遠の晦冥。
冷えた大地と空は、人々の希望を容易く奪います。 当時の村人達は神に祈りました。 冷えた指を重ねて、縋りました。
その果てに、村は救われたのです。 のちに土着神として祀られる夜明けの神「アカツキさま」が降臨し、村に太陽をもたらしました。 村の昼間を讃え、そしてアカツキ様に感謝するために、その村では50年に一度、若いヒトを生贄として捧げることになりました。
そんな因習を抱えて、この村は存続し続けました。 そして四つの季節を何百と越えて、その巡りの中にあなた達はいる。

あなたの妹である「永恋」
あなたの友である「永恋」

彼女はその代の生贄に選ばれた。 十一月三十一日 もう直ぐ冬になる日の事。 明日は「永恋」が生贄にささげられる日。
この物語は、其の前日の話