これはとある場所、とある高校で起きたかもしれない話。
高校2年の冬、終業式が終わったあと君たちは教室でたむろしていた。 誰かが言い出した。 「この中に童貞なんていねぇよな」 それを受けて次々に口を開く。 「あったりまえだろ」「流石に、もう高2ですしね」 「だせーこと聞くなよ」 でもみんな解っていた。どうせきっとここにいる全員が童貞に決まっている。
これは童貞(血)で童貞(血)を洗う聖戦(ジハード)だ。 守られるのは尊厳。勝てば正義、負ければ地獄。 容赦のない童貞擦り付け戦争が今、始まろうとしていた。 みんなには思い出して欲しい。 辞書のエロ単語引いてきゃっきゃしてた時代、格好良いを勘違いしてたあの頃。意味もなく体を鍛えたりしたし、女子と話すときだけ変なテンションになっていた。 髪型も服もイケてなかった、でも周りより少しでも上だってカマしたかった、そんなあの頃の物語だ。
目的はあくまで童貞礼讃。
あの素晴らしくもくだらない日々を、もう一度。